元彼の話
元彼は非常に勉強のできる男だった。
高学歴で、自分のことをウィットがあると言っていた。
まるで私の生き写し。
地方出身なところ、リア充を憎むところ、フィジカルの恵まれなさを努力でカバーするところ、全てがいじらしく、共感し、分かりあったつもりだった。
上京独身男は孤独な生き物である。
元彼もツイッターのフォロワーが一番の友だちのように思えた。
ツイッターでは独身限界男性ネタを連発していた。風俗に行きたいとツイートしているのは非常に申し訳ない気持ちになった。申し訳ないがそこまで140文字の中では文才は分からなかった。ただ、私と同じ脳内なんだということは140文字でも伝わった。
そう、彼も広汎性なのであった。無論私よりは空気も読めて能力も高いタイプの。
私なんかに2年半も使わせて申し訳なかった。
幸せになってくれるといいな、と書きたいが、本心はどうなんだろう。
いや、本心でも、幸せになって欲しい。
彼が幸せになってくれれば私も救われる。
私の人生に登場してくれてありがとう。男を信じてもいいんだなと10年ぶりに再確認できたので、感謝している。